youtube musicでU.S. Black Disk Guide音源を探す旅 No.180

音楽

L.T.D. / Something To Love

LP (A&M SP-4646)

Producer: Bobby Martin

【A】(1) Age Of The Showdown (2) (Won’t Cha) Stay With Me (3) (Every Time I Turn Around) Back In Love Again (4) You Come First At Last 【B】(1) We Party Hearty (2) If You’re In Need (3) Never Get Enough Of Your Love (4) Make Someone Smile, Today! (5) Material Things

70年代のソウル・シーンで大きな流れとして忘れる訳にはいかないのが、大型ヴォーカル&インスト・グループの活躍。

中でも、音楽的に充実を見せ、また商業的にも大きな成果を収めたのが、ビリーとジュフリーのオズボーン兄弟を中心とするL.T.D.。

幅広い音楽性を消化したスケール豊かなアンサンブルとソウル臭たっぷりのヴォーカル。

ダイナミックな乗りでディスコを席巻する実力派ダンス・バンドである。

77年発表の本作は、新たにフィラデルフィアの名プロデューサー、ボビー・マーティンを迎えることで、これまでに感じられた未整理な部分が解され、L.T.D.としてのスタイルが確立されたアルバム。

EW&Fの影響は完全に取り除かれ、元来彼らか基盤に持つオーソドックスなソウル・センスが、ボビーの施すメロウでファンキーな音作りの中で活き活きと躍動する。

ジェフリーの熱っぽいヴォーカルと粘着性リズムで乗せるファンク、R&Bチャート1位を記録したA(3)や泥臭くゲット・ダウンするパーティ・ナンバーB(1)が最高だが、フィリー・ダンサー仕上げのA(1)、B(3)ディープな都会バラードA(2)、B(4)も、彼らの実力の証明となるであろう。

▶ Some More from this Artist :

①”Love Together & Devotion” (A & M 3602)

②”Getting Down” (同 3660)

③”Love To The World” (同 4589)

④”Someting To Love”(同 4646)<上掲>

⑤“Togetherness”(同 4705)

⑥”Devotion”(同 4771)

⑦”Shine On” (同 4819)

⑧”Love Magie” (同 4881)

⑨”For You” (Montage 105)

ジェリー・バトラー、カルヴィン・カーターがプロデュースした①は、ジェフリー以外に女性ヴォーカルがリードを取ったりるするが、様々な要素がとりとめなく提出された中途半端な仕上がり。

続く②は完全にディスコに焦点を定めたアルバムで、未完成ながらも黒っぽいバンプがゴキゲンだ。

ダンス・ファンには必携である。

③は、明らかにEW&Fのコンセプトを下敷にしたもので、サウンドにもその傾向が表われているが、今ひとつ拭い切れぬ下世話な感覚が彼らなりの色となる。

ジェフリーが洗練の中にスピリチュアルなトーンを込めて歌う大ヒット、80年代ブラ・コン・バラードの先駆的作品とも言うべき「ラヴ・バラード」 が聴かせる。

④~⑦はボビー・マーティンのプロデュースによるアルバム。

ロマンティックなバラードからヘヴィなファンクまで、ヴォーカルの力量を重視した均整の取れた作りは、ボビーならではの手腕。

いずれる甲乙付け難い仕上がりを見せている。

⑧ではジェフリーが脱け、ニュー・バースよりレズリー・ウイルスンが加入。

現代感覚に長けたマイケル・ストークスがプロデュースを担当し、イメージも一新。

ゴスペル上がりのレズリーのシャウトが爆発する傑作ファンク「キッキン・バック」をフィーチャーした素晴しいアルバムだ。

⑨はレズリーがディープに歌い込むタイトル曲が秀逸だが、全体にややヴォルテージの低下は否めない。→(555)

転載:U.S. Black Disk Guide©平野孝則

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