youtube musicでU.S. Black Disk Guide音源を探す旅 No.191

音楽

CHIC / Risque

LP (Atlantic SD-16003)

Producer: Nile Rodgers, Bernard Edwards

【A】(1) Good Times (2) A Warm Summer Night (3) My Feet Keep Dancing 【B】(1) My Forbidden Lover (2) Can’t Stand To Love You (3) Will You Cry (When You Hear This Song) (4) What About Me

屈辱と引き換えにして歴史にその名を残すということがあ る。選挙の際の敗戦候補がそうだし、本塁打数更新記録を献上してしまったピッチャー、というのもそうだ。

しかし、主人公ではないからこそ”屈辱”はカンベンしてほしい、というのが当事者のホンネ。

できれば誰でも“名誉”なままでいたいよね。

その点、思わねところで名誉を獲得したのがシック。

すなわち、ラップ・ナンバーとして初めてのメジャーヒット、シュガーヒル・ギャングの「ラッパーズ・ディライト」のベース・トラックを生み出したグループとして、である。

その曲は言わずとしれた「グッド・タイムス」。

本アルバムのトップに収められたナンバーだ。

多くの人が認めていることではあるが、シックのサウンドを特徴づけていたものとしては、ナイル・ロジャースの歯切れのよいリズム・ギターをまず挙げることができる。

鈴木啓志氏言うところの「かつてのディスコ・ミュージックのBPMに相当していた」ナイルのギター・ワーク。

それはもう革命という言葉が相応しいもので、今なおそのスタイルは確実に残っている。

80年代、”ナイル・ロジャースっぽい….”という表現にどれだ接したことか。

ただ、テクニカルなミュージャンとしてだけてなく、プロデューサーとしても革新的だったナイル・ロジャースの威光は、どちらかというと“ブラック・ミュージック大好き白人ミュージシャン”にこそ強いのが現状のようではある。

しかし、熱心なブラック・ミュージック・ファンにいわせると、シックの魅力はバーナード・エドワーズのベースに尽きるという。

かく言う僕もそのひとり。

先の「グッド・タイムス」を挙げるまでもなく、バーナードのベース・リフの習慣性は凄まじく強力だ。

80年代に入って開花したヒップ・ホップの心臓音とでも言うべきものである。

今作以後ファンク・パンドとしては失速していったシックの頂点はここにある。

▶Some More from this Artist:

①”Dance, Dance, Dance” (Atlantic 19153)

②”Elegant Chic” (同 19209)

③”Glad To Be Here” (同 80079)

①は77年のファースト。

レコード会社への売り込みには失敗したものの、テスト・プレスがNYのディスコ・シーンで注目を集めることになり、慌ててアトランティックが拾ってくれたというシングルが「ダンス・ダンス・ダンス」。

そしてその余勢をかって78年に出されたセカンドが②で、このアルバムで彼らは単なるディスコ・バンドの枠を越えた。

③はバーナード・エドワーズの唯一のソロ・アルバム。

ナイル2枚のソロよりこちらが断然上。

ヴォーカルのジョスリン・ブラウンもいつになくR&B色が強い。

スモーキーの「ユーヴ・リアリー・ガット・ア・ホールド・オン・ミー」におけるルーサー・ヴァンドロスのコーラス・アレンジにも耳を傾けたい。

転載:U.S. Black Disk Guide©松尾潔

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