THE BROTHERS JOHNSON / Light Up The Night
LP (A&M SP-3716)
Producer: Quincy Jones

ブラ・ジョンの愛称で一世を風除した兄弟2人だが、彼らをファンク・グループと呼ぶことをぼくは好まない。
いくらルイス・ジョンスンがチョッパーを響かせ、ファンク・リズムを刻んだところで、ファンク・リズム=ファンクではない。
情緒的な言い方をすれば、ファンク・バンドのようにファンク・リズムにのめり込み、そこに酔うことへのためらいが感じられるのだ。
が、それがまさしく80年代のブラコンのひとつの流儀にもなったことを思えば、70年代後期に登場したブラ・ジョンはまさにその先駆者に他ならないのである。
そして、その流儀とはクインシー・ジョーンズがもたらしたものという言い方もできるかもしれない。
最初からクインシーがプロデュースについていた彼らは、80年2月にリリースされた本アルバムでようやくその流儀を自分のものにすることができた。
アルバムにして4枚日である。 80年初頭に最高位を制したA(1)。
これがこのアルバムのすべてといっていいくらいである。
確かにリズムもいい。だか頼りなさそうなジョージ・ジョンスンのヴォーカルから入り、続いてコーラスをかぶせていく手法、と思うとルイスがチョッパーで遊ぶ。
こうした構成すべてがビートの快感として買かれるというよりは、曲として何となく心地良く響いてくるのである。
そして、それは同じくクインシーが作り上げたマイケルの「オフ・ザ・ウォール」と共通した手触りだ。
2曲目のタイトル曲もいい。
が同じようでも曲がよくない A(3)やB(1)(5)になると、あまり魅力を感じないし、スローのA(4)やB(2)になると、シンガーの質さえ疑いたくなってしまう。
フアンク・バンドがやるバラードともまるで違い、かなりポップな雰囲気が漂う。
とはいえ、アルバム全体としては、ブラコンのひとつの成果として評価すべきだろう。
▶Some More from this Artist:
ジョンスン兄弟はキャリアが古く、既に、10代の時にジョンスン3+1の名でヴェンチャーやタンジェリンにレコードを残しているほど。
それらを聞いても、キッド・グループの域を出ず、ソウル本流からずれているようなところがあった。
その後、ビリー・プレストンのバンドで修業し、クインシーに見出されて75年にデビュー,76年には最初のアルバム”Look Out FOr#1”(A&M4567)を発表する。
いきなり「アイル・ビー・グッド・トウ・ユー」でナンバー・ワン、「ゲット・ザ・ファンク」も大ヒットしたが、“なんとなくファンク”の雰囲気は大方の評価の高さに比して、ぼくの興味をほとんど惹かなかったものだ。
2枚目の“Right On Time”(同4644)からは再度のナンバー・ワン「ストロベリー・レター23」が生まれているが、印象は似たようなもの。
むしろ、78年の“Blam!!”(同4714) が、内容的には一番ファンキーなもので、ファンク・ファン向けといったらこれしかないだろう。
しかしネタははっきりしていて、クール&ザ・ギャングやオハイオ・プレイヤーズ。
80年代の彼らは徐々に後退し、影響力もなくなった。
上にあげたアルバムに次ぐ“Winners”(同 3724)などは初めて自分たちがプロデュースしたが、はっきりいって駄作。
中では84年の”Out Of Control”(同4965)の「ユー・キープ・ミー・カミン・バック」が久々の快作。
転載:U.S. Black Disk Guide©鈴木啓志

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