LP (20th Century T-423)
Producer: Barry White

臆面もなく”愛の使者”を自任するバリー・ホワイト。
その 愛とはすなわちバリーのセクシーな声と無縁ではない。
男の低音のミリョク=セクシーさ、というのも随分ステロタイプの見方だと思うが、そうしたぼくの理解を越えて、彼の作り出す音楽は特に70年代に絶大な人気を獲得してきた。
何がいいのだろうと思ったことも1度や2度ならずあるが、女性が本当に彼にセクシーな魅力を感ずるものなのか、是非聞いてみたいものだ。
とにかく、73年に「アイム・ゴナ・ラヴ・ユー・ジャスト・アーリトル・モア・ベイビー」のナンバー・ワン・ヒットを放ってからのヒット曲の多さときたら、他のアーティストを寄せつけないほどで、77年までにナンバー・ワンは5曲を数える。
人気が頂点に達するのは74年に入ってからのことだが、ここではその直前のアルバムを選んだ。
彼としては2枚日のアルバムでヒット曲はA(2)、B(1)のみだが、ソウル・ファンには一部歓迎されやすい内容だろう。
A(1)などハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツとはいわなくとも、スウイート・ソウルに近い雰囲気があるし。彼の低音はそれほど気にならず、むしろ魅力的に思えるほど。
B(1)も曲調自体はかなりソウルフルで、まあ惹きつけられるものがある。
ヒット曲のA(2)、B(1)は中級の出来。
▶Some More from this Artist:
東のヴァン・マッコイに対し、西のバリー・ホワイトという認識がぼくにはある。
60年代から70年代にかけての歩みが実によく似ているのだ。
60年代にノーザン・シーンに深く関わっていた頃のものは”No Limit On Love” (Supremacy 802) というLPが組まれているが、これなどもヴァンの60年代の音作りとの共通性を知る上でも、貴重なものだろう。
その後、例のラヴ・アンリミテッド・オーケストラを編成。
72年に女の子3人を集めて「ウォーキン・イン・ザ・レイン」を出したところ大ヒット、一躍彼の名は知れ渡った。
だがこれだけにとどまらず、彼は歌に執着し、73年の”I’ve Got So Much To Give”(20th Century 407) を皮切りに、どんどんベスト・セラーをものにしていく。
ヴァンと共通しているのは、もうひとつ彼が実に70年代後期のディスコ・サウンドに直結した音楽を作り出していたという点である。
74年にポップス・チャートでも1位になった「キャント・ゲット・イナフ・オブ・ユア・ラヴ・ベイビー」などその典型で、踊りやすく、しかも軽くてどこかけだるそうというのが彼の特徴となっていく。
以後その大ヒット曲を含む”Can’t Get Enough”(同 444)、 “Just Another Way To Say I Love You” (同 466)と同タイプのアルバムが7、8枚が続いている。
なお、主にこの時代のヒット曲を集めたものとして『 ベスト・オブ・バリー・ホワイト』(マーキュリーPPD.1029)という便利なCDがある。
これにはラヴ・アンリミテッドの「恋の雨音」も、彼の「愛のテーマ」も収録されている。
79年に20世紀を離れ。アンリミテッド・ゴールドを設立した頃からつきも落ち、ベスト・セラーもなくなり、83年を境に沈黙の時期に入る。
それが87年に”The Right Night & Barry White” (A&M 5154)でカムバック。
89年にもアルバムを出している。
転載:U.S. Black Disk Guide©鈴木啓志

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