LP (RCA LSP-4213)
Producer: John Florez

ウィリー・ハッチというのは、なかなか面白いアーティストだ。
”面白い”というのは文字通り面白いのであって、最初彼の名が広く知れ渡ったのが、まるでポピュラーなフイフス・ディメンションのライター/プロデューサーとしてだったかと思うと、一方ではサム・クックの後継者としての顔も持つといった具合である。
そもそもサムという人が、それほどひとつのスタイルにはこだわらない人と思われていたので、ウィリーの場合もその両方を含めてサム・クック的といえるのかもしれない。
シンガーとしては、そうしたこともあって一気に70年代に花開いたのだが、アルバムとしてこの69年のデビュー作を越えるものはない。
全曲自作で全体的にやや起伏に乏しいのが欠点だが、逆に60年代的なノーザンの味をサム・クックという香辛料で引き立ててるようなところがある。
特にミディアムのA(1)あたりは最高。
スローのA(4)では、よりサム・クック的となる。
ミディアムのB(2)もよく持味の出た曲だ。
自らオーティス・レディングを意識して作ったアルバムというだけあって、A(2)、B(1)(5)といったジャンプ・ナンバーも、迫力こそオーティスには及ばないものの、いいノリを見せてくれる。
▶ Some More from this Artist:
先にも触れたように、ウィリーは最初フィフス・ディメンションやアル・ウイルスンのプロデューサーとして名を売ったが、シンガーとしては60年代中期に既にデビューしていた。
たとえは66年の”The Duck/Love Runs Out” (Dunhill 40127) などがあるが、これなどは大変珍らしいシングルで、イギリスのノーザン・ソウル・シーンでは高い人気を誇っている。
共にカッコいいノーザンだ。
他には、モダンやソウル・シティの作品も案外聞ける。
69年にRCAに入社してからのものでは、他に”Season For Love” (RCA 4296)があるが、これは1曲を除くと一転してポビュラー色を強めたもので、聞き所は少ない。
その後、ライターとしてモータウンに関係するようになってから73年にはシンガーとしてデビュー、77年までに8枚ものLPを発表している。
うち味画音楽を手掛けたものが数枚あるので、短期間にこんなに増えてしまったわけ。
デビュー作の”Mack” (Motown 766) もサントラ盤だ。
普通の形のLPは2枚目の”Fully Exposed” (同 784) が最初だが、マーヴィン・ゲイ調を試みたり、ファンクを手掛けた結果はすべて裏目に出た。
3枚目の”Foxy Brown” (同 811) もサントラ盤。
だが、「ハヴ・ユー・エヴァー・アスクト・ユアセルフ・ホワイ」などオーソドックスで意外に良いものもある。
残りの5枚の中では”Concert In Blues” (同 854) に注目してほしい。
文字通りブルースの「ストーミー・マンデイ」なんかをやっていて、いかにも見え透いている感じがするが、自分のルーツを見つめようということなのだろう。
ウイリーはロス生まれだが、テキサスで育ったこともあり、時折ディープな面が顔を出す。
マネージャーがあのJ.W.アレクサンダーであることもあり、ファンクの「パーティ・ダウン」やカッコいい「カム・オン・レッツ・ドゥ・ザ・シング」など、サムが生きていたらこんな風にやるのではと思えるほど。
85年にカムバックしたものの、LPは冴えなかった。
転載:U.S. Black Disk Guide©鈴木啓志

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