同じ案件が3分で3回来た。配達員の目線と、Uber運営の目線で考えてみた

副業

10月5日の昼すぎ、同じ案件が3分の間に3回鳴った。

行き先は加古川。明石から見たら、ちょっと遠いとこや。

同じ加古川行きが、3分で3回
14時38分、40分、41分。金額は上がっていく
時刻種類金額時間距離
14:38配達の追加+728円+34分+11.6km
14:40配達の追加(2)+1,006円+46分+13.3km
14:41配達の追加(2)+1,082円+50分+17.3km

728円が、1,006円になって、1,082円になった。

これだけ見たら「断ったら値上げしてくれるやん」と思うやろ。俺も最初はそう見えた。

結論から言うと、3回とも断った。そして、これは値上げやなかった。

今回は、この3回を配達員の目線と、Uber運営の目線の両方から考えてみる。

配達員の目線:1分あたりは1円も上がってない

金額を時間で割ってみる。

時刻金額時間1分あたり
14:38728円34分21.4円
14:401,006円46分21.9円
14:411,082円50分21.6円

ほら、ずっと21〜22円や。

金額が上がったんやなくて、運ぶ件数と時間が増えただけ。2回目から「(2)」が付いて、届け先が1件増えてる。

俺は普段から記録をつけてて、Uberの報酬は1分あたり21〜22円でほとんど動かへんことが分かってる。近くても遠くても、1件でもまとめてでも、だいたいこの値段や。今回もそのとおりやった。

ほな、なんで断ったか。

この時間は、昼のクエストの最中やった。クエストは件数で上乗せがつくから、50分かけて1件より、20分の案件を2件回したほうが得や。それに、加古川まで行ったら、帰ってくる頃には昼のクエストの時間が終わってる。

もう1つ大きいのが、帰り道はタダってことや。Uberが払うのは、行きの時間だけ。加古川から明石まで空っぽで帰る時間には、1円も出えへん。

せやから、俺の答えは「断る」。ここまでは、たぶん多くの配達員が同じことを言うと思う。

ここからは、逆の立場で考えてみる。

運営の目線:Uberの配車担当になったつもりで

ここから先は、Uberの中の人に聞いたわけやない。俺の手元のデータと、Uberが公式に出してる説明から組み立てた推測や。そのつもりで読んでほしい。

運営がやりたいこと

俺がUberの配車担当やったら、やりたいことは3つや。

  1. 注文した人に約束した時間までに届ける。遅れたら、次から頼んでもらえへん。
  2. 1件あたりの支払いを下げる。配達員に払うお金は、一番大きいコストや。
  3. 配達員を減らさない。締めつけすぎて人がおらんようになったら、1が守れへん。

この3つは引っ張り合いになってる。2を攻めすぎたら3が崩れて、1が守れへんようになる。

運営が使える手は、値段以外がほとんど

運営が動かせるのは、こんなところや。

手中身効く範囲
誰に見せるかまず近くの1人に「限定」で見せるその1件だけ
まとめるか同じ方面の注文を足して「配達(2)」にするその1件だけ
どこまで広げるかそれでも残ったら、何人かに一斉に出すその1件だけ
クエスト時間帯・雨・エリアを決めて上乗せ期間限定・人ごと
1分あたりの単価21〜22円全員に、ずっと

一番下の「1分あたりの単価」だけは、一度上げたら全員にずっと効く。それに、「断ったら上がる」と覚えられたら、みんな断るようになる。せやから、ここは動かさへん。

実際、前にも同じことがあった。9月にあるドリンク屋から、まったく同じ届け先への案件が3回連続で出し直されたことがある。金額は1,126円、1,036円、1,114円と、下がってから上がった。1分あたりは3回とも21.6〜21.8円。値上げなんかしてへん。

加古川の3回を、運営の画面から見ると

ほな、今回の3回を運営の側から見てみる。

1回目(14:38):コンビニから加古川行きの注文が入る。すぐ近くを配達中の配達員(俺)がおる。追加で運んでもらえたら一番安い。せやから、まず俺に限定で見せる。+728円。

2回目(14:40):断られた。同じ方面の注文がもう1件ある。2件まとめて出し直す。+1,006円。

3回目(14:41):また断られた。組み直してもう一回。+1,082円。距離が4km伸びてるのは、俺が走ってて現在地が動いたぶん、店までの見積もりが変わっただけかもしれん。

ここで、運営の側から見た数字を出してみる。

時刻金額件数1件あたりUberが払う額
14:38728円1件728円
14:401,006円2件503円
14:411,082円2件541円

配達員から見たら「値上げされた」ように見える。でも運営から見たら、1件あたりの支払いは728円から500円台に下がってる。

配達員の1分あたりの単価はそのままで、同じ方面の注文をまとめて、1件あたりのコストを下げてる。値上げどころか、運営にとってはむしろ得な出し直しや。

この値段は妥当なんか

運営の言い分は、たぶんこうや。

「予定時間には、いつも同じ単価で払ってる。50分かかるなら、50分ぶん払う」

Uberの公式の説明でも、報酬は「配達に要する予定時間、受け取りおよびお届け先の数、交通状況、受け取り場所での待機時間、注文量および稼働中の配達パートナー数など」を合わせて決めるとされてる。時間で払う、という筋は通ってる。

ただ、運営が分かってて見てへんところがある。帰りの時間や。

払われるのは行きの時間だけ。遠い案件ほど、帰りの空走が長くなって、配達員の実質の単価は下がる。せやから、遠い案件は誰も取らんようになる。その穴を、まとめる・出し直す・長距離のクエストで埋めてる。

言い換えたら、帰りの時間のコストを配達員に持たせといて、売れ残ったら少しだけ足す、という作りや。

覚えてる?「フラットレート」

ここで、みんな忘れてそうな話を1つ。

2025年9月、Uberは神戸を含む主要都市で「フラットレート」という報酬を試験導入した。時間帯を予約して、その間は実際に配達にかかった時間で、時給みたいに払われる仕組みや。

Xでは散々叩かれとった。今はアプリで表記も見かけへん。俺も、この記事を書いてて久しぶりに思い出したくらいや。

けど、運営の目で見たら、狙いは分かる。

  • 実際の時間で払えば、配達員は距離で案件を選ばんようになる。遠い案件も売れ残らへん。
  • そのかわり、予約制にして人数を絞る。誰でもいつでも時給、にしたら払いすぎるからな。

実は、普段の報酬も考え方は近い

おもろいのはここからや。

普段の報酬も、1分あたり21〜22円でほとんど動かへん。つまり、見積もった時間に一定の単価を掛けてるのと同じや。時間で払う、という考え方はフラットレートとそんなに変わらへん。

違うのは、払われるのが「見積もりの時間」か「実際の時間」か、そこだけ。

前日の10月4日に、こんな配達があった。

時間報酬
オファーの見積もり29分988円
実際(店で待たされて、届け先でも待った)38分988円のまま

普段の報酬は見積もりで決まるから、延びた9分ぶんは1円も増えへん。もし実際の時間で払うフラットレートやったら、同じ単価で計算して1,200円台になってた計算や。

つまり今の仕組みは、見積もった時間には払う。延びた時間と、帰りの時間は配達員持ち。

これも推測やけど、そう考えたら筋は通ってると思う。

結局、どっちが正しいんか

どっちも正しい。

配達員は、クエストの件数と帰りの時間を考えて、遠い案件を断る。運営は、それを見越して、まとめて、広げて、出し直す。お互い、相手の動きを読んだうえで動いてる。

噛み合わへんのは、延びた時間と帰りの時間を誰が持つか、その1点だけや。

今の俺のやり方は、見積もり20分前後の案件を回して、クエストを取りにいくスタイル。遠い案件は、1分あたり50円を超えるような特別な当たり以外は取らへん。

運営の手の内が見えたら、断るのも受けるのも、前より落ち着いて決められるようになった。値上げを待って断るんやなくて、「これはまとめに来たな」「これは広げに来たな」と思いながら見てる。

断っても値上げはされへん。でも、断ることで次の動きは読める。それが分かっただけでも、この3回はおもろかった。


※運営側の話は、俺1人のアカウントの記録と、Uberの公開情報から考えた推測です。Uberの中の仕組みは公開されてないので、実際とは違う可能性があります。数字は2026年10月時点、明石・神戸での記録です。

参考:

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