【四国縦断 Uber Eatsで巡る旅】Day3 前編|うどん県で焦る。都会・高松、鳴らない昼

副業

Day3、いよいよ徳島を出て香川——うどん県へ。

前夜は、徳島駅前の民泊「STAY LOTTA」で、70代のオーナーの”初めての外部客”として泊まった(詳しくはDay2に書いた)。朝、オーナーとの対面の別れはなし。鍵をポストにコトンと落として、去る。前夜あれだけ濃い話をした人やのに、朝はあっさり。まあ、それが旅の宿らしいっちゃらしい。

で、この日。結論から言うと——「都会に来たのに、むしろ稼げない」という、じわじわくる焦りの一日になる。県庁所在地・高松に期待して乗り込んだら、鳴らん、安い、受けられん。順に書いていく。


ルート確認せず、「高松」の標識だけを頼りに

正直に白状すると、徳島を出る前に、ルートをまったく確認してへんかった

ナビにゴールを入れて最短を出す、みたいなことをせず、道路標識の「高松」の文字だけを頼りに、下道を north へ進んでいく。昔ながらというか、行き当たりばったりというか。

Day2はスマートキーやらGoogleマップやら、さんざん機械に振り回された。その反動でもないんやけど、この日の朝は妙にアナログや。標識だけを追っていく。ただ——それが最短やったのかは、今も分からん。思ったより時間がかかった気がする。急いでたはずやのに、確認せんかったせいで遠回りしてたかもしれん。ちょっと皮肉な出だしや。


しおりのがもうを飛ばして、香川の入口でうどん

しおりには、こーちゃん(うちのAIの相棒)が香川の朝メシに**「がもううどん」**(坂出の名店)を入れてくれてた。讃岐うどん巡礼の王様格の一軒や。

……のやけど、この朝はがもうのことは完全に眼中になかった。とにかく高松に早く着いて稼働したい、その一心。名店に寄り道してる場合ちゃう、と。

でも、香川県に入ったあたりで、やっぱり腹が減ってきた。しゃあない、目についたうどん屋に飛び込む。入ったのはセルフ讃岐うどんの「空海房(くうかいぼう)」。ロードサイドの、朝6時半から開いてるセルフ店や。弘法大師(空海)のシルエットが看板になってる。

頼んだのは、とろろ(山かけ)のうどんに温玉。刻み海苔がのって、副えにかやくご飯の小鉢。朝からしっかり讃岐うどんにありついた。しおりの”店”は外したけど、“讃岐に来たらうどんを食う”という軸は、結局ちゃんと回収してる。旅の帳尻いうのは、こうやってどこかで合うもんや。

さあ、腹ごしらえも済んだ。ここから、都会・高松での稼働が始まる。……はずやった。


10:20 高松、稼働スタート。でも、鳴らない

高松市に入ってからオンラインしたが、2〜30分くらい無音。最初に鳴ったのが、10:20

まず、この時点で気づく。スタートが遅い。徳島(Day2)は8:37に1件目が鳴ってた。それに比べて、標識頼りの北上と朝うどんで、今日はもう10時半前。出遅れてる。

そして、稼働してみて、じわじわ効いてくる違和感——鳴らない

県庁所在地やで。徳島より都会やで。普通に考えたら、高松の方が注文も多くて、バンバン鳴るはずやん。……のに、鳴らん。しかも来るオファーは、単価が低い

拾ったオファーを並べるとこう。

時刻単価距離
10:20セブンイレブン高松岡本町¥3583.9km
10:50マクドナルド サンフラワー通り¥3615.2km
12:18はなまるうどん 高松三条¥3202.1km
12:33KFC ゆめタウン高松¥4566.8km

¥358、¥361、¥320……¥350前後がゴロゴロや。徳島と変わらんか、むしろ渋い。都会に来たのに、稼ぎのペースは全然上がらん。エリアも高松の南部から中心、西南の空港方面へと走り回るけど、玉が薄い。

ちなみにうどん県だけあって、うどんチェーン(はなまる)の配達も来る。朝は自分が空海房でうどんを食うて、昼はうどんを届ける。食う側と運ぶ側、両方でうどんに関わる一日や(笑)。


11:14 マルナカで、電波地獄に落ちる

そんな中、久々に単価の高いオファーが来た。マルナカ栗林南(香川の地元スーパー)のピック・パック・ペイ(PPP=買い物代行)、¥745

PPPは、店で自分が商品を選んで、レジで支払う代行や。Day2の徳島でもやったけど、点数が多いと単価が伸びる?今回は12種・計13点。¥745はここまでで一番マシな数字や。よし、と受ける。

……これが、地獄の始まりやった。

PPPは、商品を1点ずつバーコードで読み取って、アプリ上で一致を確認せなアカン。ところが——このマルナカ、店内の電波がめちゃくちゃ悪い

商品を見つける。スキャンしようとする。繋がらへん。しゃあないので、電波の入る場所まで移動してスキャン。また次の商品を探しに戻る。見つける。繋がらへん。また電波の入る場所へ……。「商品を探す→電波の届く場所まで歩く→スキャン」の往復を、13点ぶん延々と繰り返す

合計、34分。距離はたった4.7kmやのに、店内の電波との戦いだけで、これだけ時間を食う。¥745という数字だけ見たら「点数多くて美味しい」に見えるけど、中身は電波に翻弄される重労働や。

徳島ではスマートキーの電波(ポケットで勝手にオフ)にやられた。今度は店内の電波。この旅、つくづく電波に祟られてる。

(ちなみにこの後、同じマルナカのPPPオファーが何度も鳴った。でも、あの往復地獄を思い出して、全部拒否した。「電波さえ入れば受けたんやけどなー」——単価は美味しいのに、店の環境だけが理由で泣く泣く見送る。一度痛い目を見た店は、二度と受けん。これも学習や。)


電波地獄のあとに、四国稼働”初”のチップ

で、このマルナカの一件、実はもう一つ、大事なオチがある。

このPPP、正直に言うと、見つからなかった商品があった。品切れで、全部は揃えられんかった。配達員としては「申し訳ないな」という引け目が残る、満点とは言えん対応やった。

……のに。

このお客さんから、¥311のチップをもらった

これが、四国に入って稼働してきて、初めてのチップや。徳島(Day2)は、まる一日17件も走ってチップはゼロやった。それが、香川のマルナカで、しかも電波地獄で苦労して、商品も一部揃えられんかったという、一番チップから遠そうな配達で、四国稼働初のチップが来る。

引け目込みやったからこそ、余計に沁みた。¥311という金額の大小やない。「わざわざありがとう」の気持ちが、この配達の苦労を、静かに報ってくれた。都会で鳴らず、単価も低く、数字に一喜一憂して焦ってた——そのど真ん中で、生身の人間からの心付けが刺さる。

Day2の深夜、収支を黒字に逆転させたのはUberの深夜サージ、つまりシステムが生んだ数字やった。でもこの¥311は、システムやのうて、画面の向こうの人間がくれた数字や。同じ¥300前後でも、重みが全然違う。四国で初めて、配達の向こうにいる”人”と繋がった気がした。


焦りで、昼メシの記憶がない

……とまあ、ええ話で締めたいとこやけど、現実はもっと地味や。

この日、昼メシに何を食ったか、まったく覚えてへん

理由は、たぶん焦り。報酬はまだ少ない。しかも昼のピークタイム(11〜13時)やのに、鳴らへん。飯配達が一番盛り上がるはずの時間帯に、都会・高松で鳴らへんのや。だから「鳴った瞬間に動けるように」と、自分の昼メシを後回しにして、上の空で張り込んでた。

しおりでは、この日の昼メシに**丸亀の骨付鳥(宇多津の「丸亀骨付鳥一丁」)**を予定してた。それどころか、徳島の夜メシでわざわざ串焼きの店を選んだのも、「翌々日に香川で骨付鳥を食うため、食い方を被らせんように」っていう、こーちゃんの緻密な計画やった(Day2後編参照)。

……その香川の骨付鳥、結局この日、食わずじまい。昼メシの記憶ごと、焦りに飲まれて消えた。あれだけ入念に空けといた”骨付鳥枠”が、こんなあっさりスルーされるとは。しおりの緻密さと、現実のアッサリ具合の落差が、いっそ可笑しい。

とにかく——「都会に来たのに、稼げない」。この焦りが、Day3の前半を重く支配してた。

このまま高松で粘るべきか、それとも……。次の一手を、俺は走りながら考え始める。

Day3 中編に、つづく。

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