前編のおさらい。松山を出て、R33で山越え。高所でゾクゾクして、新車で立ちゴケして、道の駅で遅い朝飯を食うて、仁淀ブルーに癒やされた――そんな波乱の午前やった。
山に入ってからはオフラインにしてたから、稼ぎは朝イチの松山南マック(¥320)から、ずっと止まったまま。時間にして約3時間45分、俺のスマホは沈黙してた。
その沈黙が破れたのは、山を下りきって、高知の市街地に入った瞬間やった。
11:38、高知の街は最初からダブルで迎えてくれた
高知市に入って、オンラインに戻す。ほどなく鳴った1発目が、いきなりダブル案件やった。


ベースは台湾甜商店(タピオカドリンクの店)、そこにからあげ持ち帰り専門店カリッジュ土佐道路店が追加で乗って、合わせて¥805。約4時間ぶりの稼働が、いきなり2件まとめてや。幸先がええ。
Day4の新居浜でもそうやったけど、山の無音を抜けると、都会でパッと鳴りだす。この落差が、四国を走ってるとよう分かる。人が集まってるところに、仕事がある。当たり前やけど、街のありがたみを体で覚えていく。
そこからは、コンスタントに鳴った。12:24にマクドナルド フジグラン高知(¥489)、12:45にはお食事処うえたからのダブル(¥835)。高知の街、よう鳴る。
そして走ってて気づいたんやけど――高知はダブル案件がやたら出る。街がコンパクトにまとまってて、店と配達先が近いんやろな。1件受けたら、その近くでもう1件乗る。効率よう稼げる街や。
高知は、なぜか走りやすい
もうひとつ、走ってて強く感じたことがある。
高知、めっちゃ走りやすいねん。
面白いのは、条件だけ見たら松山とよう似てるってことや。高知にも路面電車――**チンチン電車(とさでん交通)**が走ってる。軌道があるせいで、道が狭くなってる区間もある。松山と同じや。
やのに、高知のほうが断然ストレスが少ない。すいすい流れる。同じ「路面電車の街」やのに、なんでこんなに違うんやろ。
走りながら考えた答えは、たぶん交通量の違いや。Day4の松山では、夕方の渋滞にハマって稼働を切り上げたくらいやった。あれに比べて、高知の車の流れは素直で、詰まらへん。碁盤の目みたいに道が分かりやすいのも効いてるんやろな。
同じような街でも、”都会の密度”がちょっと違うだけで、走り心地はこんなに変わる。これは、四国の県庁所在地を順番に走ってきたからこそ分かる肌感覚や。Day4で松山を走ってなかったら、高知の走りやすさにも気づかへんかったと思う。
“ごめん”って、謝ってるみたいやん
高知の街ネタで、もうひとつクスッとしたのがこれ。
信号待ちしてたら、チンチン電車が横を通り過ぎた。その行き先表示を見たら――**ひらがなで「ごめん」**て出てるやん。
もちろん俺は知ってる。これは**後免町(ごめんまち)**行きや。後免は、高知市の東隣・南国市にある地名で、駅もある。せやから「ごめん」は謝ってるわけやのうて、ただの行き先表示や。
けど、後免のことを知らん人が初めてこれ見たら、「なんで電車が謝ってんの?」「かわいい〜」ってなると思うねん。この、地元では当たり前のことが、余所者にはちょっと面白く見える感じ。旅っちゅうのは、こういう小さな発見の連続や。ちなみに後免は、アンパンマンのやなせたかしさんゆかりの地でもあって、土地ぐるみで「ごめん」推しやったりする。
ひろめ市場、乱入
昼を回って、正直、ここに来るまでの経緯はあんまり覚えてへん。鳴らんくて目指したんか、ぶらついてて偶然見つけたんか。記憶が曖昧や。
とにかく気がついたら、俺はひろめ市場の近所に来てた。駐輪もできそうやったんで、そのまま乗り込んだ。
高知に来て、ひろめ市場。そら、カツオのたたきや。
ファイヤー!!
店の前に立って、俺は思わず声を上げた。
ファイヤー!!
ガラス越しに、藁がゴウゴウと燃えてる。天井に届きそうな炎で、カツオを一気に炙る――藁焼きの実演や。「タタキ提供口」の札、「くじら」の幟。高知のカツオ文化のど真ん中や。この迫力、静止画やと伝わりきらんから、思わず動画も回してもうた。

カツオのたたき、2種盛り。そして正直な感想
出てきたのは、カツオのたたき2種盛り定食。片方は特製ダレ、もう片方は塩たたき。塩とタレ、両方いっぺんに食べ比べできる贅沢なやつや。ご飯と味噌汁がついて、飲みもんは土佐の番茶。ベタやけど、これぞ高知の正解、って布陣や。

で、食うた。
……ここからは、正直に書く。俺の記事は、いつもそうしてきたからな。
塩もタレも、どっちもうまい。俺は塩のほうが好みやった。ただ、身の厚みがありすぎた気がする。ぶ厚いのがええって人もおるやろけど、俺の好みからすると、ちょっとドテッとしてた。
で、これは完全に個人の感想やねんけど――正直、近所のヤマダストアー(地元のスーパー)で売ってるカツオのたたきのほうが、うまいんちゃうかな? と思ってしまった。
誤解せんといてほしいのは、まずくはない。全然うまい。ただ、この店の満足って、味そのものだけやのうて、あの藁焼きのファイヤーとか、市場のガヤガヤした空気とか、旅の高揚感とか、ぜんぶ込みのパフォーマンスで成立してる部分が大きいんちゃうかな、と。
観光地のご当地グルメって、案外そういうもんかもしれん。味の一点勝負やのうて、”体験を食う”。それはそれで、めちゃくちゃ正しい満足の仕方や。炎を見て、市場の空気を吸って、旅先でカツオを頬張る――この体験込みなら、俺も大満足やった。それは間違いない。
Day4では、大街道のもとやまで宇和島鯛めしを食うて「感動のうまさや」と唸った。あれは、味そのものに感動した。それに対して、Day5のひろめのカツオは、体験に満足した。同じ「ご当地メシ、ようやくありつけた」でも、中身はちょっと違う。旅を重ねると、こういう食の解像度も上がってくる。
――さて。カツオで腹を満たして、俺はまた稼働に戻る。
午後の高知は、まだまだこれからや。この後、俺は久しぶりの”あの案件”に遭遇し、思いがけない大きなチップを受け取り、道端で高知名物のアイスを頬張ることになる。そして一日の締めには、配達で気になってたある弁当を、”頼む側”にまわって食うことになる。
続きは後編で。
(つづく)
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