【四国縦断 Uber Eatsで巡る旅】Day3 後編|丸亀の夜、旅人と出会う。骨付鳥は幻のまま

四国縦断 Uber Eatsの旅

高松を見切って西へ。善通寺で4件拾い、”軍都”の顔を知り、五重塔の下で初めて顔を出した(詳しくはDay3中編に)。前半の焦りから、ようやく前に進む手応えが出てきた。

そして、いよいよ丸亀。……のやけど、今夜の寝床は、まだ確定してへん。当日予約できない快活の、残り3席を睨みながらの、綱渡りの続きや。


19:48 丸亀市に到達

善通寺から西へ流して、19:48、ついに丸亀市に入った

到達を告げるように鳴ったのが、ピザロイ丸亀店、¥636(12.8km)。夜になって、ちょっと距離のある配達で、単価もようやくマシになってきた。地図には飯野山——あの綺麗な円錐形の”讃岐富士”が見える。高松を見切ってから、坂出、善通寺と通過して、ここ丸亀まで。西進の旅が、ひとつの区切りを迎える。

そして、丸亀市内を走ってると、ふと夜空に白いものが浮かんで見えた。


丸亀城の、夜のライトアップ

丸亀城やった。

高い石垣の上に、こぢんまりした天守が、ライトアップされて夜に浮かんでる。丸亀城は「石垣の名城」で、日本一の高さを誇る石垣で知られる。そしてあの天守は、江戸時代からそのまま残る”現存天守”——全国に12しかない、本物のうちの一つや。

昼〜夕方の善通寺では五重塔、夜の丸亀では現存天守。西へ走る道すがら、香川の名所を、配達のついでに二つも見上げることになった。狙って観光したわけやない。走ってたら、そこにあった。焦って鳴らんかった午後を抜けて、疲れも溜まってきた夜に、ふと見上げたライトアップ。……こういう瞬間があるから、旅はやめられん。

さて。景色に見とれてる場合やない。今夜の寝床を、確保せなアカン。


残り3席の綱渡り、決着

前にも書いた通り、快活CLUBは当日の予約ができない。丸亀の快活のフラットシートは、西進してる間ずっと残り3席。走りながら「減ってへんか」を何度も確認して、ヒヤヒヤしてた。行ってみて埋まってたら、今夜は野宿になりかねん。

だから、丸亀市内に入って、ピザロイの配達を終えた、その足で快活へ直行。まずはチェックインだけを、真っ先に済ませた。稼ぎより、寝床。追い詰められた末の、この優先順位よ。

……席、確保。 ふう。ようやく、今夜どこで寝るかが確定した。肩の荷が下りる。

ちなみにこの「西の快活を探す」の最初のとっかかりは、こーちゃん(AI)に相談したもんやった。でも、こーちゃんが方向を示してくれても、「当日予約できない」っていう肝心の落とし穴は、自分でネットを見て、残席とにらめっこして詰めた。AIは地図を広げてくれる。けど、そこを実際に歩いて、罠を避けて、席にありつくのは自分や。この役割分担が、だんだん腑に落ちてきた。


快活の駐輪場で、湘南の旅人と

チェックインを済ませて、ひと息。駐輪場に、アメリカンバイクが停まってた。ええバイクやな、と。つい、乗り手の方に声をかけてみた。

聞けば——湘南から、バイクで四国一周に来てるという。

バイクにはキャンプ装備が積まれてる。「今日はキャンプやないんですか?」と尋ねると、**「なんとなく、快活にきてみた」**とのこと(笑)。まあ、この辺でキャンプできる場所もそうそうないやろしな、と内心で思いつつ。

俺も、自分の旅——Uber Eatsで稼ぎながら、四国を縦断してることを話してみた。すると、

「へえ、そんなことできるんだ。すごいねぇ」

と、感心してくれた。

……これが、地味に効いた。この旅、ここまでずっと、俺が焦ったり、機械に翻弄されたり、鳴らんくて凹んだりする側やった。それが、湘南の旅人に「すごいね」と言われる側に回る。自分の旅のユニークさを、他人の目を通して、初めて実感する瞬間やった。

他にも色々話した。楽しい時間やった。ただ、ひとつだけ悔しかったのは——「湘南から来た」ってだけで、もうカッコいいイメージやん。しかも実物の御本人まで渋くてカッコええんやから、ズルいよなー、と(笑)。 世の中、持ってる人は持ってるわ。

Day2は、駅前の民泊で70代のオーナー(ヨット乗り)と、思いがけない縁があった。Day3は、丸亀の快活の駐輪場で、湘南のライダーと。世代も、旅の形も違う。でも「バイクで四国を巡ってる」という一点で、すっと通じ合える。 この旅、行く先々で、ええ人に出会う。


21:53 「もうちょっとだけ」の、締めの一本

寝床が確保できた安心感からか、欲が出た。**「もうちょっとだけ稼ごか」**と、もう一度オンラインに戻す。

そこで来たのが、ローソン丸亀土器町東九丁目、¥320(2.1km)。ドロップ先は宇多津町。時刻は21:53。近距離の軽い一本、寝る前の締めにちょうどええサイズや。

……のはずが、これがちょっと手こずった。ドロップ先のマンションの入口が、どうにも分からへん。夜で、初見の街で、ぐるぐる探し回る。配達員あるあるの、地味にしんどいやつや。

で、入口を探して歩き回るうちに、あることに気づく。このドロップ先、「市」やなくて「町」——宇多津”町”やのに、めちゃくちゃ発展してるんや。近所には、「ツインタワー」っていうタワマンまで建ってる。「町」やのに、都会みたいなスカイライン。

あとで知ったけど、宇多津町は面積が小さいわりに人口密度が高くて、瀬戸大橋のたもとの再開発でタワマンが建った、ちょっと特殊な町らしい。地図で「宇多津町」って字面だけ見てたら、絶対に田舎やと思う。でも、実際に配達で入口を探して歩き回った先に、タワマンがそびえてる。地名の”格”と、街の実際の姿が、まるで一致せん。

思えばこの日、そういう「見た目と中身のギャップ」によう出くわした。アプリで別の店名に見えて実はゴーストレストランやったり、コンビニが中華食堂を名乗ってたり、同じマックでも店舗で顔が違ったり。そして最後は、「町」の名を持つ、タワマンの街。配達で、その地面に実際に立つからこそ、見える”素顔”がある。


骨付鳥は、幻のまま。晩飯はすき家、そして就寝

さて、締めの¥320も終えた。……のやけど、入口探しで時間を食って、正直、もうヘトヘトや。

そして、この日の晩飯。しおりでは、この香川で**丸亀の骨付鳥(宇多津の「丸亀骨付鳥一丁」)**を食う予定やった。徳島の夜メシでわざわざ串焼きを選んだのも、「香川で骨付鳥を食うから、食い方を被らせんように」という、こーちゃんの緻密な計画あってのことやった。

その、香川の骨付鳥。

結局、この日も食わずじまい。 幻のまま終わった。

疲れ果てた俺が晩飯に選んだのは——快活の敷地内にある、すき家。今日、配達で何度もピックした、あのすき家や。骨付鳥の”香川の主役”を計画してたのに、締めは全国チェーンの牛丼。しかも自分が散々運んだ店。あれだけ入念に空けといた”骨付鳥枠”の、この脱力の結末よ。

でも、まあ、ええねん。これがこの旅や。しおり(AI計画)は、どこまでも緻密。現実は、どこまでもアッサリ。 その落差ごと、記録に残す。

牛丼をかき込んで、確保したフラットシートに潜り込む。今夜の快活は、快適やった。

——Day1の快活は、極寒で、駐輪場もなくて、散々やった(Day1後編参照)。それを経て、今夜。AIに相談して、当日予約できない綱渡りを制して、自分で選び取った丸亀の快活。それが、ちゃんと”快適”やった。宿選びで痛い目を見てきた旅の学習が、静かに実を結んでる。


Day3、収支まとめ

この日の稼ぎは——¥9,130

内訳は、配達報酬が¥8,819と、あの四国稼働初のチップ¥311。合わせて¥9,130や。

数字を見ると、Day3の一日が、そのまま出てる。Day2の徳島が¥13,186やったのに対して、都会・高松に期待して乗り込んだDay3の香川は、¥9,130。約4千円も少ない。「都会なのに稼げない」——この日の焦りは、気のせいやなくて、ちゃんと数字に表れてた。

でも、その渋い¥9,130の中に、¥311のチップが入ってる。稼ぎは少なかった。骨付鳥も食えんかった。機械にも街にも振り回された。それでも、電波地獄のマルナカで、生身の人間が「ありがとう」をくれた。丸亀の駐輪場で、旅人が「すごいね」と言ってくれた。

稼ぎの多い少ないやない。この日の¥9,130には、そういう温度が混じってる。

さあ、明日はどこへ向かおうか。四国縦断の旅は、まだ続く。

Day4に、つづく。

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