Day2、いよいよ四国上陸の日や。
前日は明石を出て、泉州の北向き地獄をくぐり抜けて和歌山まで南下した(このへんはDay1後編に書いた通り)。そして今日、和歌山港から南海フェリーに乗って、ついに四国・徳島へ渡る。
……のやけど、結論から言うとこの日、上陸早々に新車がウンともスンとも言わんくなって、真夏の徳島で一人パニックになる。旅の2日目にして、早くも波乱の幕開けや。まあ、順を追って書いていく。
5:30 和歌山港、南海フェリーで四国へ

しおり通り、和歌山港5:30発のフェリーに乗る。
夏休みシーズンやし、混んでるかと身構えてたけど、意外とそうでもなかった。バイクは自分含めて3台だけ。フェリーの車両甲板に、Lead125をラッシングベルトで前後ガッチリ固定してもらう。自分の相棒が船に括りつけられてる図、なんか妙にグッとくるものがある。いよいよやな、と。

前日は早めに寝たつもりやけど、5時半発ともなるとやっぱり眠い。船内の座敷部屋でゴロ寝して仮眠を取ろうとした。
……が、寒い。
これがまた寒くて寝れんのや。ブランケットが欲しかったくらい。昨日の快活CLUBの極寒(Day1後編参照)に続いて、二日連続で寒さにやられるとは。仮眠、失敗。
しゃあないのでデッキに出た。日光で体を温めてもらおう作戦や。日差しはキツいけど、海風もあって、これくらいが僕の体にはちょうど心地よい。甲板も空いてたんで、シートでちょっとだけゴロ寝した。座敷では寒くて寝れんかったのに、炎天下のデッキで寝るという謎ムーブ。まあ気持ちよかったからええねん。
そうこうしてるうちに、徳島港に到着。
フェリー移動はこれで人生2回目なんやけど、港に着く時のあの高揚感、地続きの移動とはやっぱり違う。本当にワクワクする。船から降り立つ土地が、海を挟んだ向こう側やという感覚。
どんな土地柄なんやろな。
未踏の地・徳島。ここから、四国での稼ぎながらの旅が始まる。
上陸、まずは一服して作戦会議
下船して、まずはコンビニへ。水分補給とタバコを一服しながら、今日の行動指針を考える。
今日の宿泊地は徳島。つまり、遠くへ移動する必要がない。ということは——ほぼ丸1日、徳島でウーバーを稼働できる。Day1みたいな「◯◯行き縛り」で先を急ぐ日とは違う、腰を据えて稼げる一日や。
そうと決まれば、まずは朝メシ。しおりに載せてた珈琲庵へ向かう。こーちゃん(うちのAIの相棒な)が徳島のモーニング枠として挙げてた店や。AI計画が、四国上陸一発目でどこまで通用するか。さっそく検証といこか。
珈琲庵のモーニング|工夫は感動一歩手前、味は……

着いたのは、ええ感じにレトロな喫茶店。
出てきたモーニングがこれ。厚切りの食パンに、丁寧に格子状の切込みが入っている。バターが染み渡りやすいようにっていう工夫やな。これは確かに、ちょっと感心した。感動一歩手前、っていう感じ。副えのサラダも彩りよく、珈琲にもこだわりが感じられる店やった。
……のやけど、正直に書くと。
食パン自体は、美味しいというほどではなかった。切込みの工夫にはグッときたんやけど、肝心の味がそこまでではなかったのが、ちょっと残念。珈琲へのこだわりは伝わってきただけに、惜しい。
まあ、こういう正直な感想を書けるのがこの旅の記録やと思ってる。旨いもんは旨い、そうでもないもんはそうでもない、で。
ちなみにこの店、支払いは現金のみやった。レジで払おうとしたら、ふと横の張り紙が目に留まる。

徳島駅前の民泊「STAY LOTTA」。駅から徒歩3分、風呂・洗濯機付きで一泊なんぼ、みたいな案内や。「へー、こんな安宿もあるんや」と、この時はチラッと思っただけやった。
——が、この張り紙が、後々じわじわ効いてくることになる。それはまた後編で。
8:37 徳島、稼働スタート。未踏の地は「全受け」で
朝メシも済んだし、いよいよ徳島で本格稼働や。
方針はシンプル。徳島は未踏の地やから、基本全受けでいく。土地勘がまったくない街で選り好みしてもしゃあない。まずは数をこなして、地形と流れを体で覚える。効率より経験、っていう日や。
で、8:37、記念すべき徳島1発目のオファーが鳴る。

- ¥729/31分/11.2km
- ピック:ローソン徳島北沖洲店 → ドロップ:文化の森方面
……11.2km。コンビニのピックで、この距離。¥729を11kmで割ったら、1kmあたり¥65やそこら。明石や神戸で走ってる感覚からすると、距離がやたら伸びる。これが噂の田舎ウーバーってやつか。店と客がとにかく遠い。でも全受けの日やから、当然承諾。徳島の洗礼、1発目からいただきました。
そして走り出してすぐ、もう一つの洗礼を食らう。
徳島市中心部、県庁や駅の周辺、渋滞がひどい。 そして路肩というか路側帯のアスファルトが、しわというかコブというか、とにかく荒れてる。すり抜けようとすると、この凹凸がめちゃくちゃ怖い。二輪でこの路面をすり抜けるのはリスクがデカい。
というわけで、この日以降、徳島市街でのすり抜けは封印することにした。これは走ってみて初めて分かる、配達員視点の生きた教訓や。ガイドブックには絶対載ってへん。
その後も全受けで淡々とこなす。


- 9:04|¥592/27分/6.5km:セブンイレブン徳島南出来島町店から。
- 9:08|配達の追加(スタック)¥190:セブンへ向かう道中、「もう1件重ねてこ?」って追加オファーが来た。が、これは拒否した。全受けが方針とはいえ、未踏の地でいきなり2件同時に抱えるのは、正直ちょっと不安やった。理屈やなくて、単純に。慣れん土地は、まず一件ずつや。
セブンの商品を無事ドロップして、さあ次いこか——と、バイクにまたがる。
この時はまだ、この直後に旅で一番の地獄が待ってるとは、夢にも思ってなかった。
9:30 事件発生。新車のスイッチが、回らへん
セブンの配達を終えて、エンジンをかけようとした。
……回らへん。
メインスイッチが、回らへんのや。ウンともスンとも言わへん。
え、なんで。時刻は9時半すぎ、午前中とはいえ日差しはもう完全に真夏。カンカン照りの下、動かんバイクを前に、パニックで汗がダラダラ噴き出す。
とりあえず、頼みの綱のこーちゃん(AI)に相談してみる。ここからの流れが、まあ情けないというか、笑えるというか。
まずこーちゃん、**「ハンドルロックの噛み込みちゃいます? ハンドル軽く揺すりながら回してみて」**と。やってみる。動かん。
次、**「スマートキーの電池切れが多いですよ」**と。
……新車やっちゅうねん。
納車されてまだ間もない新車のスマートキーが、電池切れ? さすがにそれは考えにくい。実際、リモコンのバイクマークを押したらハザードが2回ピカッと点滅する。電池も認証も、生きてる。
それでもこーちゃんは「ならハンドルロックの噛み込みが本命です」と食い下がり、最終的には**「これは自力解決の範囲を超えてます。バイク屋さんかロードサービスに連絡を」**とまで言い出した。近くのホンダドリームやら、保険のロードサービスやら(※でも自動車保険は車の契約やからバイクは適用外かも、とか)、そういう案内までしてくる始末。
頼りにしてたAIが、新車に電池切れを疑い、最後は「電話しろ」で匙を投げる。なかなかの役立たずっぷりである。(こーちゃん、ごめんな。でも事実やからそのまま書くで)
「新車を乗り捨てて帰らなアカンのか」——どん底
で、言われた通りバイク屋に電話しようとするんやけど。
まだ営業時間前で、店が開いてへん。
詰んだ。真夏の炎天下、見知らぬ徳島の路上で、新車が動かへん。バイク屋も開いてへん。頭の中を、最悪の想像がよぎる。
——このまま、知らん土地で新車を乗り捨てて、帰らなアカンのか。
旅、2日目にして。四国に上陸したばっかりやのに。
さすがにこれは、と思い直す。とりあえず炎天下で立ち尽くしてても消耗するだけや。幸い、すぐ近くにスーパーのハローズがあった。動かんバイクを押して、そこまで避難する。日差しから逃れて、店内の休憩スペースで一息つく。
汗だくで、半分諦めかけながら、それでも「何か手はないか」と考える。時計を見たら、ちょうど10時になっていた。バイク屋も、そろそろ開く時間や。
ダメ元で、購入店に電話してみた。
10時、購入店の電話一本で、あっけなく解決
状況を伝えると、店の人は即座にこう言った。
「ああ、それ、ズボンのポケットの中でボタンが長押しされて、リモコンの接続が解除されてるんですよ。もう一回、そのボタンを長押しして、接続し直してみてください」
……は?
言われた通り、スマートキーのボタンをもう一度長押しする。緑のランプが点灯。接続、復活。
メインスイッチに手をかけると——回った。
……治った。
あっけない。ほんまにあっけない。
つまり、こういうことやった。スマートキーには「リモコンの連携をオン/オフするボタン」がある。それが、移動中にズボンのポケットの中で勝手に長押しされて、連携が解除されてた。だから認証が切れて、メインスイッチが電子ロックされて回らんかった、と。バイクマーク(リモコン操作)は効いてたのに、認証の電波だけがオフになってたという盲点や。
真犯人は、自分のポケット。約1時間、汗だくでパニックになって、AIには振り回されて、「新車を乗り捨てて帰る」覚悟までしかけた挙句の、この真相。脱力である。
でも、ほんまに助かった。電話一本で秒殺してくれた購入店の人が、この日の救世主や。AIでも自分でもなく、プロの一言で終わった。餅は餅屋やな。
【教訓】 Lead125のスマートキー、同じ症状(メインスイッチが回らん)が出たら、まず電波の連携ボタンを長押しして、緑ランプが点くか確認。ポケットの中で勝手に押されてる可能性を疑うべし。自分への備忘録として、ここに刻んでおく。
午前を終えて
時刻はもう10時半。この日の午前は、まるまる機械に翻弄されて終わった。荒れた路面、そしてスマートキーの連携解除。テクノロジーが、旅人をおちょくってくる。
でも、まだ一日は始まったばかり。事件から立ち直って、腹も減ってきた。
午後は——AIのしおりを一旦置いといて、自分のカンを信じて動いてみようと思う。それが吉と出るか凶と出るか。
Day2 中編に、つづく。

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