【四国縦断 Uber Eatsで巡る旅】Day5 後編|ネギ、チップ、そして高知の締め弁当

四国縦断 Uber Eatsの旅

中編のおさらい。山越えを終えて高知の街に入ると、稼働は一気に復活した。都会はやっぱりよう鳴る。ダブル案件を連発しながら、ひろめ市場でカツオのたたきにありついて――正直、味には一家言つけたけど――藁焼きのファイヤーと市場の空気込みで、しっかり高知を味わった。

腹を満たして、午後の稼働に戻る。ここからのDay5後半は、稼ぎもドラマも、ぐっと濃くなっていく。

久しぶりの「ネギ案件」

昼を過ぎて、鳴ったのがピック・パック・ペイ(PPP)――いわゆる買い物代行の案件や。フジグラン高知で、4種4点を買って届ける。これに追加が乗って、ダブルで合計¥1,445。この日いちばんの高単価や。

で、その買い物の中身にネギが入っててな。生鮮の長ネギは、当然そのままバッグには収まりきらん。結果どうなるかというと――Uber Eatsの配達バッグから、長ネギがニョキッとはみ出す

これ、配達員あるあるの通称「ネギ案件」や。地元でもたまに遭遇するんやけど、久しぶりやったんで、思わず写真を撮ってもうた(笑)。相棒のリード125に、Uberのバッグ、そこから飛び出す一本のネギ。旅先の高知で、この生活感。ひろめで「体験を食う」なんて洒落たこと言うてた同じ日に、俺は他人の晩ごはんのネギを運んでる。これが、配達員のリアルや。

ローソン、立て続けに3連発

ネギを無事に届けたあとは、夕方のコンビニタイムに突入や。

16:12にローソン高知旭町、16:36にローソン鴨部、16:48にローソン神田。24分のあいだに、ローソンだけで3件。金額は¥417、¥320、¥363と小粒やけど、距離が短いから回転はええ。夕方のコンビニ需要が一気に立ち上がる時間帯なんやろな。都会の高知は、こういう細かい案件が途切れずに湧いてくる。淡々と、けど確実に、数を積んでいく。配達の、いちばん地味で、いちばん本質的な時間や。

アイスクリンと、なかなか出てこんおばあちゃん

ローソン3連発でひと汗かいたところで、17時過ぎ。商店街で見つけたのが、高知名物のアイスクリンや。

アイスクリンは、いわゆるアイスクリームとはちょっと違う、卵と牛乳ベースのシャリっと軽い、昔ながらの氷菓や。高知の夏の定番。「1×1=1」ていうレトロなキャッチコピーの看板と、亀のゆるいキャラが目印やった。

面白かったのが、その並びに、今風の綺麗なスイーツ屋もあってん。けど俺が吸い寄せられたのは、昔ながらの和菓子屋のほうやった。しかも、声をかけても、おばあちゃんがなかなか奥から出てこん(笑)。都会の「頼んだら即出てくる」に慣れた身には、この、のんびりした間が、なんとも和む。急かす気にもならん。おばあちゃんのペースで、ゆっくり待つ。

出てきたアイスクリンを、指ぬきグローブの手で持って、ぱくり。¥250。カツオにはあんだけ一家言つけたくせに、この素朴な氷菓には、何の文句もない。うまい。安くて、素朴で、旅の合間にちょうどええ。高い名物には厳しくて、安い素朴なもんは素直に受け入れる。我ながら、庶民の舌や。

そのアイスクリンが、福を呼んだ

――で、ここからがこの日のハイライトや。

アイスクリンを食い終わって、稼働に戻った、そのわずか8分後。17:25に鳴った案件が、これやった。

「[高知名物料理×藁焼き生カツオ] 稲屋」

……カツオや。昼にひろめで「厚すぎる」「近所のスーパーのほうが」なんて偉そうに評した、そのカツオのたたきを、今度は俺が他人んちへ配達する番や。人生、うまいことできてるな、と苦笑いしながら受けた。配達報酬は¥671。まあ、普通の案件や。

けど――届け終わってアプリを見たら、目を疑った。

チップ、¥1,200。

配達報酬¥671に、チップが¥1,200上乗せ。合計¥1,871。この日いちばんの実入りが、よりによって、俺が文句をつけたカツオの配達で舞い込んできた。カツオに一家言つけたバチが当たる……どころか、カツオが福を運んできよった。

思い出すのは、Day3の香川や。あの惨敗の一日に、四国で初めてもらったチップが¥311。「システムが弾き出す金やのうて、人がくれた金や」と、妙に沁みた。あれの、豪華版や。しかも今回は、その直前に、なかなか出てこんおばあちゃんのアイスクリンを、のんびり待って食うてた。あのおばあちゃんが、福を呼んでくれたんかもしれん。そう思うと、なんやほっこりする。

南国市を、拒否した

18:02にマクドナルド高知パワーセンター店(¥507)を配ったあと、ちょっと妙な時間帯があった。ディナータイムやのに、1時間近く鳴らへん

いや、正確には、鳴ってはいた。ただ、その多くが南国市へのドロップ案件やってん。南国市は、高知市の東隣。俺はそれを、何件か拒否してた。「端の方まで引っ張られたくない」「今日は高知市内を走りたい」――そういう判断や。

後から冷静に考えたら、これはちょっともったいなかったかもしれん。南国市にドロップが集中するってことは、あそこはベッドタウンっちゅうことや。夕飯どき、街で働いてた人らが郊外の自宅に帰って、晩ごはんを頼む。だから南国方面が伸びる。取っといたら、無音の1時間を埋められたかもしれん。「取ればよかったかなー」と、後から思った。まあ、時既に遅しや(笑)。

……とはいえ、や。この「端に流されず、走りたいエリアで動く」って判断、Day4でもやったな。松山で「新居浜に拉致される」呼び戻しを拒否して、松山へ振り切ったあれや。結果論で言えば南国を取るのが正解やったかもしれんけど、その場その場で、自分の走りたいように走る。稼ぎだけが正義やないっちゅうのも、Uber Eatsの楽しさでもあり、この旅で学んだことや。まあ、両方本音やな。

夜も、淡々と

無音の1時間を抜けたら、また鳴りだした。

19:06にびっくりドンキー高知インター店(¥757)、20:19にらーめん酒場JIN一ツ橋店(¥495)、20:46にすき家56号高知大原町店(¥320)。日はとっぷり暮れて、アプリの地図も夜モードのまっ暗になってる。夕飯どきの需要を拾いながら、高知の街を東へ西へ。

そして21:01、この日の最後の案件が鳴った。マクドナルド土佐バイパス店、¥415。

……マックや。またマックや。数えてみたら、この日運んだマックは、これで5回目。朝の松山南に始まって、フジグラン、パワーセンター、そして締めの土佐バイパス。Day5は、朝から晩まで、マクドナルドと共にあった一日やった。前編で「この日は一日中マックに縁がある」と書いたけど、まさかの5回。ここまでくると、もはや相棒や。

この土佐バイパス店を配り終えて、俺はようやくオフラインにした。朝7:51から、夜21:01まで。立ちゴケもあった、長い長い一日の稼働が、これで終わった。

締めは、”頼む側”の弁当

稼働を終えて、さあ晩飯や。

けど、時刻はもう21時過ぎ。「この時間やと、飯屋はたいてい閉まってるやろな」と、半ば諦めてた。

そこで思い出したのが、日中、配達で走り回ってるときに何度か見かけてた、**チキン南蛮弁当の店「くいしんぼ 如月(きさらぎ)」**や。高知のローカルな弁当チェーンで、あのチキン南蛮がずっと気になってた。一日じゅう他人の飯を届け続けた俺が、今度は自分が客として、あの弁当を買いに行く。なんや、立場が逆転して面白い。

行ってみたら、イートインもできそうな雰囲気やった。「よし、ここで食おう」と思ったら――コロナ以降、イートインはやってないとのこと。……Day5、ほんまに「一筋縄でいかへん飯」ばっかりや。えびちくわの試食といい、みやび家の満席といい、この旅の飯は、いつも一手間かけさせてくる。

しゃあないので弁当を買って、今夜の宿である快活CLUBに電話して聞いてみた。「弁当って、持ち込みできますか?」――OKやった。よし、これで解決や。持ち帰って、快活でゆっくり食うことにした。Day4のドーミーインの贅沢から、一気に快活へ。この落差もまた、この旅らしい。

そして、開けたチキン南蛮弁当が、これや。

ここで、県外の人に一個だけ言うときたい。高知のチキン南蛮は、タルタルやない。オーロラソースや。 ケチャップとマヨネーズを合わせた、甘酸っぱいピンクがかったソース。これが高知のチキン南蛮の定番なんよ。「チキン南蛮=タルタル」やと思ってた俺も、高知に来て初めて知った。ごめん電車といい、アイスクリンといい、このオーロラソースといい――土地が変われば、当たり前も変わる。旅の面白さって、こういう小さな”違い”の発見の積み重ねやなと思う。

チキン南蛮に、野菜炒めと唐揚げ、ポテサラ、日の丸ごはん。おかず豊富で、コスパも上等。走り疲れた体に、しみわたった。

稼ぎは減っても――の、その先

この日の稼ぎを締めてみる。

Day5、¥9,359(うちチップ¥1,200)。

思い出してほしい。Day2の徳島が¥13,186、Day3の香川が¥9,130、Day4の愛媛が¥5,344。毎日きっちり、稼ぎは減っていってた。俺はDay4の締めで、「稼ぎは減っても、旅は濃くなる」と書いた。減っていく数字を、そう言い聞かせてた面もある。

けど、Day5の高知は――¥9,359。下げ止まって、むしろ盛り返した。 Day3の香川すら、わずかに上回った。走りやすい街、よう出るダブル、そして¥1,200のチップ。高知は、思いがけず俺に優しい街やった。

「稼ぎは減っても旅は濃くなる」と覚悟した、その翌日に、旅の濃さはそのままで、稼ぎまで戻ってきた。立ちゴケで泣いて、仁淀ブルーに癒やされて、カツオに文句つけて、そのカツオにチップで救われて、おばあちゃんのアイスクリンに和んで、最後は”頼む側”の弁当で締める。……ほんまに、濃い一日やった。

四国は、これで4県すべてを走った。徳島、香川、愛媛、高知。四国縦断の旅も、いよいよ折り返しや。

明日からは、本州へ帰る道のり――尾道、しまなみ海道を越えて、明石を目指す帰路が始まる。

――Day5、これにて完。帰路編へ、つづく。

(つづく)


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